●台風の夜に風呂に入る
「台風の夜に風呂に入る」だからどうした?入ればいいじゃない?と言われそうだが、
我が家の場合にはちょっとした決意がいるのである。
我が家の風呂場は玄関を出て、庭の向こう側にある。
つまり、雨の日は傘を差して行かなければならない。もし、外が暴風なら、その7mは遥かな距離となる。
ちょっとした決意がいるのだ。
島が暴風圏内に入る前に風呂に入る事にする。
横殴りの雨に傘は役に立たない。
レインジャケットを羽織って、だぁっと走り込む!
風呂のある小屋はもちろん雨漏りがしている。
雨垂れを眺めながら、のんびりと湯船に浸かっていると
薄いトタン板を張った屋根に、雨粒が叩きつけるザァーッ、ババッー、という激しい音が響く。
台風が近づいている事の胸の高鳴りと離島暮らしの侘びしさが共につのって来て、
なんとも言い様のない高揚感を感じる。
台風の夜の風呂は楽しい。
風呂上がりにヤギ「りんご」の様子を見る。
ヤギにも台風が近づいている事は分かるのか?
雨の当たらぬ小屋の中で静かにしている。
午前中の小雨のうちに餌の木の枝を沢山吊るして置いた。
これで台風越えの準備は万全だ。